コラム
COLUMN in a monthly

ビジネスに活かす
メンタルトレーニング

本稿は自動車雑誌連載記事です。

第1回 心の力をチェックする

 この度、本誌にビジネスのスキルアップやゴルフ上達の秘訣などをメンタル面から解説してほしいとの依頼をいただきました。
 私の本来の専門はスポーツ運動学というコンピュータやビデオを利用した技術分析をする学問です。また子どもの頃からやり続けてきたスポーツは体操競技です。ですから、私の専門とする学問やスポーツについて書いたとしても、きっとほとんどの方がおわかりにならないのではないかと思います。

 ところがこの十数年の間に、こうした本来の専門とは別に、メンタルトレーニングについて書いたりお話ししたりする機会がとても多くなりました。今では、プロ、アマを問わず、あらゆる種目の選手たちにメンタルトレーニングを指導するようになっています。
 なにしろ心の問題ですから、意欲や自信を増すためにとか、集中力を高めたり感情をコントロールする方法などは、スポーツ選手に限ったことではありません。勉強でも仕事でも、また日常の生活でも、そこにはすべて心が動いています。そんな心の世界のことを、これから書かせていただこうと思っています。

 さて、私がメンタルトレーニングの指導をする場合には、まず以下の7つのメンタルスキルをチェックするところから始めます。この7つのスキルは、高い成果を挙げるためには誰にでも必要な力です。
 以下の説明にしたがって、それぞれ10点満点で自己評価してみてください。できればその理由も書いておくとよいでしょう。例えば、「意欲は10点(最近やることなすことうまくいって、仕事が面白くてしかたがない)」とか、「集中力6点(ときどき調子に乗り過ぎて、軽率な行動をしてしまうことがよくある)」などと書き添えるのです。

(1)意欲
朝起きた時にその日のことを思い浮かべてみましょう。イメージするだけでワクワクするようなら10点。ベッドの中で、一日の仕事のことを考えると、思わず布団をかぶってしまうというのでは、点数が低いのは言うまでもありません。

(2)自信
自信にあふれていれば10点。自分の仕事や行動にまったく自信が持てないなら1点。

(3)感情コントロ一ル能力
どんな状況でも冷静沈着に対処できるなら10点。「キレル」、「イラツク」、「ムカツク」などが頻繁に感じられる人は、1~2点がいいところでしょう。

(4)イメージ想起能力
鮮明なイメージがリアルに思い描けるなら高得点。目を閉じて何かをイメージしようとしても何も浮かんでこない人は1点。

(5)集中力
やるべきことに完全に没頭できる人は、得点が高い。逆に、雑念ばかりで能率の悪い人は得点が低い。

(6)リラックス
プレッシャーのかかる場面でも、心も体も意図的にリラックスできるなら高得点。逆にすぐに緊張して硬くなる人は得点が低い。

(7)コミュニケーションスキル
自分の考えを、相手がよくわかるように伝える力です。これには話の内容だけではなく、話し方、つまり声や表情、姿勢などのすべてが含まれます。

 心の力の自己評価はいかがだったでしょうか。でも、これはあくまで自己評価です。同じ方法で、あなたのことをよく知っている三人に、客観的な評価をしてもらってください。
 例えばあなたが集中力に8点をつけたとします。ところが三人の評価は、いずれも3点。ここで怒ってはいけません。自己、他者両方の評価理由を読み比べてください。そうすると、日頃、自分では気づいていなかった心のウイークポイントが浮かび上がってくるものです。
 自分をあるがままに見られるようになれば、問題の半分は解決したようなものなのです。

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